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頭部皮膚糸状菌症(頭部白癬、しらくも)について

頭部白癬とは

頭部白癬(しらくも)は、**皮膚糸状菌(白癬菌)**という真菌(カビ)が頭皮や毛髪に感染して起こる病気です。

小児に多くみられますが、大人でも発症することがあります。症状が進行すると脱毛や炎症を起こすことがあるため、早めの診断と適切な治療が大切です。


主な症状

ケルスス禿瘡、頭部浅在性白癬、黄癬の3病型があります。

ケルスス禿瘡

  • 化膿性炎症が強く、侵された毛包から膿(うみ)が出る
  • 毛は容易に抜ける
  • 痛み
  • 所属リンパ節の腫れ

頭部浅在性白癬

  • フケが増える
  • 円形または不規則な脱毛斑
  • 脱毛後の毛穴に黒点(ブラックドット)
  • 毛に一致して膿疱(うみ、白い点)
  • かゆみ

脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、頭部膿皮症などと症状が似ているため区別する必要があります。


原因

頭部白癬は白癬菌が頭皮や毛髪に感染することで発症します。

感染経路には次のようなものがあります。

  • 家族との接触
  • 保育園・幼稚園・学校での接触
  • 帽子、ブラシ、タオルなどの共用
  • 犬や猫などのペットからの感染

特に子ども同士の接触が多い環境では感染が広がることがあります。


原因菌

  • T. rubrum : ヒト由来、多くは他部位の白癬から拡大
  • T. tonsurans: 柔道、レスリングなど格闘技で流行
  • M. canis: 主にペット、特に猫から感染
  • T. mentagrophytes complex: 動物由来はT. metagrophytes, ヒト由来はT. interdigitale
  • T. violaceum(T. glabrum): 散発的に発症
  • T. verrucosum: 主に土壌から感染
  • T. schoenleinii: 黄癬
  • M. ferrugineum: 1910-20年代日本の頭部白癬の8-9割を占めた
  • 近年はテルビナフィン耐性 T. rubrum, T. interdigitale, T. indotineがインドのみならず、日本でも拡大が懸念されている。

検査

当院では、症状に応じて次のような検査を行います。

  • 顕微鏡検査(KOH直接鏡検)
  • 真菌培養検査
  • 必要に応じてダーモスコピー(皮膚拡大鏡)による観察
  • 皮膚生検による病理組織所見・皮膚組織の真菌培養

これらの検査により、頭部白癬と他の皮膚疾患を区別し、適切な治療方針を決定します。


治療

頭部白癬は、塗り薬だけでは十分な治療効果が得られません。

内服薬

毛髪の内部まで感染しているため、抗真菌薬の飲み薬による治療が基本となります。

・テルビナフィン:治療期間は通常4~8週間

・イトラコナゾール

Microsporum属による場合はテルビナフィンよりもグリセオフルビン(本邦では使用不可)の有用性が示されています。海外のガイドラインではイトラコナゾールを選択することが推奨されています。

小児に対してはテルビナフィン、イトラコナゾールともに適応がないですが、文献1では、イトラコナゾールが 2.5~4.0 mg(平均 3.5 mg) /kg/日で 7.7 週テルビナフィンが 3.5~4.5 mg (平均 3.9 mg) /kg/日で6.9 週で,おおむね良好な結果が得られています。

文献1)福田俊平,十亀良介,松田光弘ほか:Microsporum canisによる小児頭部白癬の 1 例―小児頭部白癬内服治療の文献的考察,臨皮,2010; 64: 1060―1064. (レベル V)


日常生活で気を付けること

  • 帽子やタオル、ブラシを共用しない
  • 頭皮を清潔に保つ
  • 家族に症状がある場合は一緒に受診する
  • ペットに脱毛や皮膚病変がある場合は動物病院で診察を受ける
  • 自己判断で治療を中断しない

よくある質問

Q. 人にうつりますか?

はい。頭皮や毛髪との接触、タオルや帽子などを介して感染することがあります。

Q. 学校や保育園へ行けますか?

適切な治療を開始すれば通園・通学が可能な場合が多いですが、施設の方針や症状によって対応が異なります。ご不明な場合は医師にご相談ください。

Q. 塗り薬だけで治りますか?

頭部白癬では毛髪内部に白癬菌が感染しているため、一般的には飲み薬による治療が必要です。

Q. 脱毛は元に戻りますか?

多くの場合、適切な治療により毛髪は再び生えてきます。ただし、重い炎症が長期間続くと、まれに瘢痕(傷あと)が残り、永久的な脱毛となることがあります。


当院からのご案内

頭部白癬は、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症、湿疹などと見分けが難しいことがあります。当院では必要に応じて顕微鏡検査や培養検査を行い、正確な診断に基づいた治療をご提案しています。

お子さまのフケが急に増えた、脱毛がある、頭皮に赤みや腫れがあるなどの症状がみられる場合は、お早めにご相談ください。

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