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酒さ、赤ら顔

【酒さ(しゅさ)】顔の赤み・ほてり・ブツブツの原因と治療


🔖 目次

  1. 酒さ(しゅさ)とは
  2. 酒さの原因
  3. 酒さの種類(タイプ分類)
  4. 酒さの遺伝的背景と肌質の特徴
  5. 酒さを悪化させる要因
  6. 酒さの治療法
  7. 当院で可能な治療

1、酒さ(しゅさ)とは

酒さ(しゅさ)は、顔の赤み・ほてり・ニキビのような発疹が長く続く慢性の皮膚疾患です。
頬、鼻、あご、額などに症状が出やすく、「赤ら顔」として悩まれる方も多いです。
紫外線、ストレス、寒暖差、ホルモン変動などの刺激で悪化しやすく、良くなったり悪化したりを繰り返して長く続くことが多いです。


2、酒さの原因

酒さの原因は単一ではなく、皮膚のアレルギー反応・炎症反応・免疫異常・血管反応の過敏化・皮膚常在菌バランスの乱れなどが関係しています。

紫外線、ステロイド外用、微生物や毛包中、アレルギー反応などの刺激がさまざまな細胞を活性化し、炎症物質(カセリサイディン・LL-37など) などの過剰産生を引き起こすことで、赤みやブツブツが生じます。

*ご興味のある方は↓も参照ください

  • 紫外線は表皮角化細胞の自然免疫(TLR3)を活性化し、グルココルチコイド(GC)合成系を促進する。
  • GCは微生物や毛包虫(Demodex)からのTLR2シグナルを増強する
  • TLR2シグナルはカセリディン抗菌ペプチドの転写促進とカリクレイン5(KLK5)の分泌、活性化を促進し、活性型抗菌ペプチド(LL-37)を誘導する。
  • LL -37はサイトカイン産生、活性酸素(ROS)の発生を誘導、炎症細胞の遊走促進、血管内皮細胞の増殖、血管拡張を誘導、肥満細胞の脱顆粒を促進する

3、酒さの種類(タイプ分類)

酒さは主に以下の4つのタイプに分類されます。

  1. 紅斑・毛細血管拡張型
     顔全体に赤みが持続し、血管が目立つ。(顔面の持続性紅斑や、毛細血管拡張)
  2. 丘疹膿疱型
     赤みの中にニキビのようなブツブツ・膿疱が出現する。(脂腺系毛包を中心とする丘疹と膿疱)
  3. 鼻瘤型(鼻部肥厚型)
     鼻が赤く腫れ、皮膚が厚くなっていく。(真皮内の線維化による腫瘤形成と形態変化)
  4. 眼型(眼酒さ)
     まぶたや目の周囲が炎症を起こし、かゆみ・異物感・充血を伴う。(脂腺性毛包周囲もしくは脂腺周囲の炎症反応を主座とする酒皶の炎症が眼瞼縁において睫毛周囲と脂腺の一種であるマイボーム腺周囲に及んだもの。マイボーム腺の機能不全によって、粘膜上皮の炎症から眼瞼辺縁、眼瞼結膜、そして眼球結膜に紅斑、充血、ドライアイ、眼脂の増加などの眼症状をきたすものと考えられている)(Jabbehdari S et al: Eur J Oph-thalmol 31: 22―33, 2021, Rodrigues-Braz D et al: MolVis 27: 323―353, 2021)。

4、酒さの遺伝的背景と肌質の特徴

遺伝子背景

紫外線感受性の高い方や喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー素因をもつ方が日本人でも酒さを持ちやすいのではないかと言われています。

日本人の酒さの患者様での遺伝子情報の統計解析(GWAS:ゲノムワイド関連解析)は行われていませんが、2018年に報告されたヨーロッパ人を祖先に持つ欧米人で酒さ症状をもつ、もしくは診断されたと申告した7万人あまりの遺伝子情報の統計解析(Aponte JL, et al : Hum Mol Genet 27: 2762, 2018)では、メラニン合成に関連する遺伝子(OCA2、MC1R、SLC45A2)、Th2系炎症反応に関連する遺伝子(IL-13、IRF4)が見出されました。

肌質の特徴

酒さの方の肌は、乾燥しやすく刺激に敏感です。

  • 角層水分量が少なく、乾燥肌傾向
  • 経表皮水分蒸散量(TEWL)が高く
  • 「クローディン」などスキンバリア関連遺伝子が低下しており、バリア機能が低下している

外的刺激に対して反応しやすいため、保湿をすることがとても重要です!


5、酒さを悪化させる要因

酒さは、環境・生活習慣・体調などさまざまな要因で悪化します。

外的要因

  • 紫外線・気温差・乾燥・風
  • 熱い飲食物、辛いもの、アルコール
  • 摩擦・刺激の強いスキンケア

内的要因

  • ストレスや自律神経の乱れ
  • ホルモンバランス(月経周期など)
  • 花粉・ハウスダストなどのアレルギー

6、酒さの治療法

酒さの治療で大事なのは、下記の3つです!

  1. 悪化因子を避ける
  2. 症状にあった治療を行う
  3. スキンケア

(1)悪化因子を避ける

前述の項目5に記載させていただきました、悪化因子を避けることが必要になります。

(2)症状にあった治療について

症状から、上記の機序にそって、外用剤・内服薬・レーザーなど適切な治療を行います。丘疹(ぶつぶつ)の改善は比較的早期に見込めることが多いですが、赤みの改善には治療に時間がかかることが多く、良い状態を維持するために治療を長期継続することが重要です。

🩹 外用治療

  • 抗菌薬外用(ロゼックスゲル®・ダラシンゲル®・イベルメクチンクリームなど)
  • イオウカンフルローション®
  • アゼライン酸外用薬(DRX® AZAクリア)
  • コレクチム®・モイゼルト®・プロトピック®
  • アドレナリンα2-受容体作動薬(ブリモニディン®)、アドレナリンα1、2-受容体作動薬(オキシメタゾリン®)

🩹 内服治療

  • 抗菌薬内服(ミノサイクリンやドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬、イベルメクチン、メトロニダゾールなど)(*テトラサイクリン系抗菌薬はマトリックスメタロプロテアーゼにする抗酵素作用を介して間接的に表皮角化細胞からのカリクレイン・セリンプロテアーゼ活性を抑制する効果もある)
  • 抗ヒスタミン薬内服 
  • 漢方薬(白虎加人参湯®、十味敗毒湯®、荊芥連翹湯®など)

💡 レーザー・ボトックス

  • IPL(光治療) や Vビーム血管レーザー )による赤み改善
  • IPL照射によりin vitroで培養肥満細胞からのMMP9、カセリサイディンの発現低下も報告されています(Jiang P et al: Inflamm Res 72: 75,2023)
  • ボツリヌス毒素はin vitroで肥満細胞の脱顆粒を抑制し、MMP9とTRPV2産生を抑制したことが報告されています(Choi JE et al: J Dermatology, 93: 58, 2019)表は日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023より引用

(3)スキンケア指導

  • 低刺激の洗顔・保湿
  • 紫外線対策
  • 外的刺激を避ける生活指導

当院の特徴

当院では、酒さの発症メカニズムに基づいた治療を行っています。
内服薬・外用薬・レーザー治療・スキンケア指導を組み合わせ、赤みの軽減・再発予防・肌質改善をトータルにサポートします。

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