皮膚真菌症とは
皮膚真菌症とは、真菌(カビ)が皮膚や爪、毛髪、粘膜などに感染して起こる病気の総称です。
原因となる真菌には、皮膚糸状菌(白癬菌)、カンジダ属、マラセチア属などがあり、それぞれ感染しやすい部位や症状、治療法が異なります。
代表的な疾患には、水虫(手足白癬)、爪白癬(爪水虫)、体部白癬(ぜにたむし)、股部白癬(いんきんたむし)、頭部白癬、皮膚・粘膜カンジダ症、マラセチア症などがあります。
皮膚真菌症は見た目だけでは湿疹や乾癬、接触皮膚炎などと区別が難しいことが少なくありません。そのため、真菌がいることを確認してから治療を始めることが重要です。
当院では、日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」に基づき、顕微鏡検査などによる正確な診断と、患者さん一人ひとりに適した治療を行っています。

佐藤製薬株式会社:患者説明資材(大切な家族を守るために知っておきたい のこと)より引用
皮膚真菌症の主な種類
表在性皮膚真菌症
皮膚の表面(角層)、爪、毛髪などに感染する真菌症です。日常診療で最も多くみられる皮膚真菌症で、適切な診断と治療により改善が期待できます。
手・足白癬(水虫)
足や手に皮膚糸状菌が感染する病気です。
足白癬は成人で最も多い皮膚真菌症で、「指の間がふやける」「皮がむける」「かゆい」「足裏が厚くなる」などの症状がみられます。
角質増殖型や広範囲の病変では、塗り薬だけでは十分な効果が得られないことがあり、内服薬を検討します。
▶ 詳しくは「手足白癬(水虫)」をご覧ください。
爪白癬・爪真菌症
爪に真菌が感染した病気です。
爪が白色や黄色に濁る、厚くなる、変形する、欠けるなどの症状がみられます。
日本では爪真菌症の多くは爪白癬ですが、カンジダなど他の真菌によることもあります。
治療法は病変の範囲や原因真菌に応じて選択します。
▶ 詳しくは「爪白癬・爪真菌症」をご覧ください。
体部白癬・股部白癬(たむし)
体部白癬(ぜにたむし)は体や四肢に、股部白癬(いんきんたむし)は足の付け根に生じる白癬です。
赤い円形の発疹や強いかゆみが特徴で、足白癬を合併していることも少なくありません。
▶ 詳しくは「体部・股部白癬」をご覧ください。
頭部皮膚糸状菌症(頭部白癬)
頭皮や毛髪に白癬菌が感染する病気です。
フケが増える、脱毛する、毛が途中で切れる、頭皮が赤くなるなどの症状がみられます。
外用薬のみでは治癒が難しく、多くの場合で内服抗真菌薬による治療が必要です。
▶ 詳しくは「頭部白癬」をご覧ください。
皮膚・粘膜カンジダ症
カンジダ属による感染症です。
皮膚がこすれ合う部位(わき、足の付け根、乳房の下など)や口の中、外陰部などに発症します。
糖尿病や免疫力の低下、抗菌薬の使用、水仕事などが発症に関係します。
▶ 詳しくは「皮膚・粘膜カンジダ症」をご覧ください。
マラセチア症
皮膚に常在するマラセチア属によって起こる疾患です。
代表的な疾患には
- 癜風(でんぷう)
- マラセチア毛包炎
があります。
汗をかきやすい季節に悪化しやすく、適切な抗真菌治療で改善します。
▶ 詳しくは「マラセチア症」をご覧ください。
深在性皮膚真菌症
真菌が皮膚の深部や皮下組織まで感染する比較的まれな疾患です。
代表的な疾患として、
- スポロトリコーシス
- 黒色分芽菌症(クロモミコーシス)
- 黒色菌糸症
- 無色菌糸症
などがあります。
専門的な診断や治療が必要となるため、病状に応じて高次医療機関と連携して診療を行います。
動物から感染する皮膚真菌症
猫、犬、ウサギ、モルモットなどの動物から白癬菌が感染することがあります。
家族やペットに皮膚病変がある場合は、感染源となっていることもあるため、必要に応じて獣医師との連携をおすすめしています。
薬剤耐性白癬について
近年、一部の白癬菌で抗真菌薬が効きにくい「薬剤耐性白癬」が国内外で報告されています。
通常の治療で改善しない場合には、耐性菌の可能性も考慮します。
当院では、必要に応じて大学病院と連携し、薬剤耐性に関する専門的な検査・診療をご案内しています。
当院で行っている真菌検査
真菌直接鏡検
皮膚や爪の一部を採取し、顕微鏡で真菌の有無を確認する基本検査です。
真菌症の診断で最も重要な検査であり、当院では診断の基本として実施しています。
デルマクイック®(爪白癬抗原検査)
爪白癬が疑われる場合に行う迅速検査です。
顕微鏡検査だけでは診断が難しい症例で補助的に用い、診断精度の向上に役立てています。
*注意)アルペルギルスなどの環境中に存在する一部の糸状菌や、死菌にも抗原が存在し、本キットは反応するので治療を開始・継続するのか否かを本キットのみで判断することはできません。
真菌培養検査
原因となる真菌の種類を詳しく調べる検査です。
診断が難しい場合や治療に反応しにくい場合に実施します。
皮膚真菌症の治療
原因となる真菌や感染部位に応じて治療法を選択します。
主な治療は以下のとおりです。
- 抗真菌薬外用療法(塗り薬)
- 抗真菌薬内服療法(飲み薬)
- 病変や生活背景に応じたスキンケア・生活指導
当院では、診断結果や病型、患者さんの年齢、持病、服用中のお薬などを考慮し、一人ひとりに適した治療をご提案しています。
よくあるご質問
市販薬だけで治りますか?
軽症の白癬では改善することがありますが、湿疹など他の病気に誤って市販薬を使用すると悪化することがあります。まずは真菌検査による診断をおすすめします。
水虫は自然に治りますか?
自然に治ることは少なく、放置すると爪白癬へ進行したり、ご家族へ感染したりすることがあります。
爪白癬は治りますか?
適切な治療を継続することで改善が期待できます。ただし、爪は伸びる速度が遅いため、治療には数か月から1年以上かかることがあります。
当院の診療方針
皮膚真菌症は「見た目だけ」で診断せず、真菌を確認したうえで適切な治療を行うことが大切です。
当院では、日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」に基づき、顕微鏡検査を中心とした診断と、エビデンスに基づく治療を提供しています。
症状がなかなか改善しない場合や薬剤耐性白癬が疑われる場合には、大学病院などの専門医療機関と連携し、より詳しい検査や治療をご案内いたします。
「水虫かもしれない」「爪が厚くなってきた」「かゆみが続く」「市販薬で治らない」などの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
























