皮膚・粘膜カンジダ症とは
皮膚・粘膜カンジダ症は、Candida(カンジダ)属という真菌(カビ)が皮膚や粘膜で増殖することによって起こる感染症です。
カンジダは口の中や消化管、外陰部、皮膚などに普段から存在している「常在菌」の一種ですが、皮膚が蒸れやすい状態や免疫力の低下などをきっかけに異常に増殖し、炎症を起こします。
原因となる菌の多くはCandida albicansですが、そのほかのカンジダ属が原因となることもあります。
主な病型
カンジダ性間擦疹(かんさつしん)
最も多くみられる皮膚カンジダ症です。
皮膚同士が擦れやすく湿気がこもる部位に発症します。
発症しやすい部位
- わきの下
- 乳房の下
- 足の付け根(陰股部)
- お腹のしわ
- 首のしわ
- おむつが当たる部位
症状
- 境界がはっきりした赤い発疹
- ジュクジュクしたびらん
- 薄い皮むけ(鱗屑)
- 小さな膿疱
- 周囲に小さな赤い発疹(衛星病変)
- かゆみやヒリヒリ感
白癬(たむし)のように中央から治っていく「中心治癒」は通常みられません。
カンジダ性指(趾)間びらん症
手や足の指の間が長時間湿った状態になることで発症します。
症状
- 指の間の白くふやけた皮膚
- 赤み
- びらん
- 痛みやかゆみ
炊事や水仕事が多い方、介護職や医療従事者などに多くみられます。
乳児分芽菌性紅斑
おむつを使用している乳児にみられる皮膚カンジダ症です。
症状
- おむつ部位の鮮やかな赤み
- びらん
- 小さな赤い発疹(衛星病変)
おむつかぶれと似ていますが、治療法が異なるため正確な診断が重要です。
口腔カンジダ症
口の中の粘膜にカンジダが感染した状態です。
乳児、高齢者、免疫力が低下している方、義歯(入れ歯)を使用している方に多くみられます。
症状
- 舌や頬の内側に白い苔のような付着物
- 口の痛み
- 食事でしみる
- 味覚異常
- 舌の赤みや萎縮
外陰腟カンジダ症
妊娠可能年齢の女性によくみられる粘膜カンジダ症です。
症状
- 強いかゆみ
- 外陰部の赤み
- びらん
- 白く酒粕状のおりもの
- 排尿時や性交時の痛み
カンジダ性亀頭炎・亀頭包皮炎
男性の亀頭や包皮に生じるカンジダ感染症です。
症状
- 赤み
- かゆみ
- 白い苔状の付着物
- 軽い痛みや刺激感
性的パートナーに外陰腟カンジダ症がある場合には、お互いの治療が必要となることがあります。
発症しやすい方
次のような方では発症リスクが高くなります。
- 汗をかきやすい
- 肥満
- おむつを使用している
- 糖尿病
- 妊娠中
- 抗菌薬(抗生物質)を使用している
- ステロイド薬や免疫抑制薬を使用している
- 高齢者
- 乳児
- 免疫力が低下している方
検査
皮膚・粘膜カンジダ症は見た目だけでは湿疹や白癬(たむし)などとの区別が難しいことがあります。
当院では必要に応じて次の検査を行います。
- KOH直接鏡検(顕微鏡検査)
- 真菌培養検査
顕微鏡検査では、カンジダに特徴的な仮性菌糸や胞子を確認し診断します。
爪に感染した場合には爪白癬との区別が必要となるため、真菌培養検査を追加することがあります。
治療
皮膚カンジダ症
多くの場合は抗真菌薬の塗り薬で治療します。
通常は1日1~2回外用し、約2週間程度で改善することが多い病気です。
症状が広範囲に及ぶ場合や炎症が強い場合には、抗真菌薬の飲み薬を使用することがあります。
口腔カンジダ症
軽症では抗真菌薬のゲルやシロップによる局所治療を行います。
中等症から重症では、抗真菌薬の内服治療を行うことがあります。
口腔内を清潔に保つことや、義歯の洗浄・消毒も再発予防に重要です。
外陰腟カンジダ症
抗真菌薬の腟錠や腟坐剤を使用します。
症状が強い場合や再発を繰り返す場合には、抗真菌薬の飲み薬を使用することがあります。
カンジダ性亀頭炎・亀頭包皮炎
抗真菌薬の塗り薬による治療が基本です。
必要に応じて性的パートナーにも症状がないか確認し、外陰腟カンジダ症がある場合には同時に治療を行うことが推奨されます。
日常生活で気を付けること
- 患部を清潔に保つ
- 汗をかいたら早めに着替える
- 通気性の良い衣類を選ぶ
- 皮膚をよく乾燥させる
- おむつはこまめに交換する
- 口腔ケアを毎日行う
- 義歯は毎日洗浄・消毒する
- 医師の指示どおり最後まで治療を続ける
よくある質問
Q. 人にうつりますか?
カンジダはもともと人体に存在する常在菌であり、日常生活で他人へ感染することは多くありません。ただし、外陰部のカンジダ症では性的パートナーにも症状がないか確認することが望ましい場合があります。
Q. 市販薬で治療できますか?
軽症では改善することもありますが、白癬や湿疹など似た病気も多くあります。自己判断せず、症状が続く場合や繰り返す場合は皮膚科を受診してください。
Q. 再発を繰り返すのはなぜですか?
糖尿病や免疫力の低下、汗や蒸れ、抗菌薬の使用などが背景にあることがあります。再発を繰り返す場合には、これらの要因についても確認することが重要です。
当院からのご案内
皮膚・粘膜カンジダ症は、湿疹や白癬(たむし)、細菌感染などと見た目がよく似ています。当院では顕微鏡検査や必要に応じて真菌培養検査を行い、原因を正確に診断したうえで、一人ひとりの症状に合わせた治療をご提案しています。
皮膚の赤みやただれ、かゆみ、口の中の白い付着物、外陰部の違和感などが気になる場合は、お早めにご相談ください。
























