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慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)と皮膚症状|蚊刺過敏症・EBウイルス関連疾患|御徒町しろくま皮膚科


慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)とは

慢性活動性EBウイルス病(Chronic Active Epstein-Barr Virus Disease:CAEBV)は、EBウイルス(Epstein-Barr Virus:EBV)に感染したT細胞やNK細胞が体内で増殖し、慢性的な炎症や臓器障害を引き起こす希少な疾患です。

EBウイルスは日本では20歳までに90%の人が感染するありふれたウイルスで、通常は免疫によって制御されバランスが取れたEBウイルス潜伏感染状態で過ごします。しかし、一部の方ではEBウイルス関連疾患を引き起こします。

早期診断と専門施設での治療が重要とされています。

EBウイルス(EBV)とは

EBウイルスはヘルペスウイルス科に属する二本鎖DNAウイルスで、主に唾液を介して感染します。

初感染時には症状が出ないこともありますが、Gianotti-Crosti症候群や、思春期以降に感染すると伝染性単核球症を発症することがあります。

多くの場合は自然に回復しますが、ごく一部の方で慢性活動性EBウイルス病やEBウイルス関連リンパ増殖性疾患へ進展することがあります。

慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)の症状

CAEBVでは以下のような症状が長期間持続または繰り返し出現します。

  • 発熱が続く
  • 強い倦怠感
  • 食欲低下
  • リンパ節腫脹
  • 肝脾腫

診断基準(日本小児感染症学会監修:慢性活動性EBウイルス病とその類縁疾患の診療ガイドライン)

以下の4項目以上を満たすこと

  • 伝染性単核症様症状が3ヶ月以上持続(連続的または断続的)
  • 末梢血または病変組織におけるEBウイルスゲノム量の増加
  • T細胞あるいはNK細胞にEBウイルス感染を認める
  • 既知の疾患とは異なること

原因不明の発熱やリンパ節腫脹を伴う皮膚症状が長期間続く場合には、EBウイルス関連疾患を考慮する必要があります。

類縁疾患(EBウイルス関連T/NK細胞リンパ増殖性疾患)

慢性活動性EBウイルス病と関連する疾患群として、EBウイルス関連T細胞・NK細胞リンパ増殖性疾患があります。

重症蚊刺アレルギー

蚊に刺された後に大型水疱、潰瘍を形成し、高熱やリンパ節腫脹、肝腫大などの全身症状を伴うことがあります。
潰瘍ができた部分は瘢痕治癒します。ワクチン接種後などが引き金となることもあります。

小児から若年成人(多くは20歳まで)に発症する稀な疾患。

皮疹部にEBウイルス感染NK細胞が浸潤します。

半年から数年で、半数がEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症や悪性リンパ腫などになることがあります。

種痘様水疱症リンパ増殖異常症

主に小児に認められ、日光(UVA)曝露部位(顔、下唇、耳、手背)を中心に水疱や痂皮を繰り返し、瘢痕を残すことがあります。目の充血や口腔粘膜のびらんなどの粘膜症状を認めることもあります。

  • 古典型種痘様水疱症
    皮膚のみで全身症状はない。発症平均年齢は9.6歳で、大半は自然軽快するが10%は全身型に移行する。
    一般生化学検査(採血)では異常を認めないが、全血を検体としたEBウイルスコピー数は増加する。
    皮疹部にEBウイルス感染γσT細胞の浸潤が認められる。
  • 全身型種痘様水疱症
    皮膚症状や発熱などの全身症状を伴う。皮疹はより大型で顔面の腫脹を認めやすい。平均発症年齢18.5歳で加齢による自然消退傾向はない。
    肝機能、血清EBウイルス抗体価の異常を認めることがある。全血、血清を検体としたEBウイルスコピー数は増加する。
    皮疹部にEBウイルス感染γσT細胞またはαβT細胞の浸潤が認められる。

診断

診断には複数の検査を組み合わせて行います。専門施設にご紹介します。

血液検査

  • EBウイルス抗体価
  • 血算、生化学(肝機能)検査
  • EBウイルス関連抗体価(EA,VCA,EBNA)、末梢血全血中EBウイルスDNA量(10,000IU/ml(4.0 Log IU/ml)以上)

病理組織検査

皮膚病変やリンパ節病変がある場合には、生検を行い、HE染色、免疫染色、EBER-ISH(EB virus-encoded small RNA –in situ hybridization: 蛋白に翻訳されないRNAでEBウイルス感染細胞内で大量に発現しており、核に局在している)に評価します。
病変部組織のEBウイルス溶解感染関連遺伝子(BZLF1,BDRF1)の発現の有無で予後予測ができます。

治療

慢性活動性EBウイルス病は専門施設での治療が必要です。

薬物療法

  • 副腎皮質ステロイドの全身投与
  • 化学療法
  • 種痘様水疱症リンパ増殖異常症や種痘様水疱症リンパ増殖異常症ではステロイド外用を行うこともあります。

などが行われます。

ただし、これらは根治治療ではなく病勢をコントロールする目的で使用されます。

造血幹細胞移植

現在、根治が期待できる治療法として造血幹細胞移植が行われています。

注意すべきポイント

慢性活動性EBウイルス病は稀な疾患ですが、

  • 原因不明の皮疹が長期間続く
  • 高熱を繰り返す
  • リンパ節が腫れている
  • 蚊刺過敏症がある
  • 肝機能異常を指摘されている

といった場合には、皮膚疾患だけでなく全身性疾患の可能性も考慮する必要があります。

当院では皮膚症状の診察に加え、必要に応じて血液検査や専門医療機関への紹介を行っています。

このような症状がある方はご相談ください

  • 蚊に刺された後に異常に強く腫れる
  • 発熱と皮疹を繰り返している
  • 日光で悪化する水疱や痂皮がある
  • 原因不明のリンパ節腫脹がある
  • 慢性的な皮膚症状と全身症状が続いている

慢性活動性EBウイルス病やその類縁疾患は早期診断が重要です。気になる症状がある方は皮膚科専門医へご相談ください。

参考文献:日皮会誌 136 (3) 227-234, 2026

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