乾癬(かんせん)
乾癬は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(ほっしん)の上にフケのようなものが付着しポロポロと剥がれ落ちる疾患です。
外からの刺激が加わりやすい部位に生じます。約60%の患者さんは爪にも症状がみられます。
日本人では、乾癬を発症した患者さんの10~15%は関節の症状を伴う乾癬性関節炎を発症します。 手足や指、腰のほか、アキレス腱付着部や足の裏(足底筋膜)などに腫れや痛みが出ます。
原因
乾癬の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因を土台として、持病や生活習慣など内外からの影響を受けることで発症すると考えられています。
治療
マルホホームページより転記
外用
ステロイドやビタミンD3の外用を行います。
内服
シクロスポリン(ネオーラル®)
皮膚症状の比較的重い方や皮疹面積の広い方に適しています。免疫担当細胞(リンパ球)に対して作用し、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。主な副作用として血圧上昇、腎機能障害、多毛などが生じることがあるため、定期的な血圧測定、血液検査が必要です。
レチノイド、エトレチナート(チガソン®)
表皮の角化異常を抑え、正常な表皮を再形成します。主な副作用として、手足の落屑、口唇炎が生じることがあります。また、胎児に影響を与えるおそれがあるため、服用中止後も、男性は6ヵ月、女性は2年間の避妊が必要です。
アプレミラスト(オテズラ®)
免疫にかかわる細胞に存在する酵素の働きを抑え、過剰に発現している炎症を起こす物質の生産を抑える働きがあります。主な副作用として頭痛や吐き気、下痢などが起こることがあります。
デュークラバシチニブ(ソーティクツ®)
TYK2というたんぱく質のはたらきを抑えることにより、IL-23に誘導されるTh17及びTh22経路、IL-12に誘導されるTh1経路、Ⅰ型IFNが関与する免疫経路を阻害するなどTYK2がかかわる免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善すると考えられています。
内服できない人
- 重篤な感染症の人
- 活動性結核の人
- 過去にソーティクツ®に含まれる成分で過敏症のあった人
光線治療
紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応をおこしている皮膚の症状を沈静化する治療です。当院では308nmの紫外線を患部に照射できるエキシマ光線療法を行っています。
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、類乾癬、円形脱毛症などの疾患で保険適応になっています。1~5分で終了し、すこし暖かいと感じる程度です。最初は週1回の通院をお勧めします。効果がでてきたら、2週間~1ヶ月にに1回になります。
注射療法(生物学的製剤)
乾癬を引き起こす炎症性のサイトカイン(たんぱく質)を直接抑制し、乾癬の症状を抑える治療です。
投与できる人
- 今までの治療法で十分な効果がみられない人
- 皮膚の症状が全身の10%以上(およそ手のひら10個分)におよぶ人
- 難治性の皮膚の症状または関節の症状がある人
投与できない人
- 重い感染症のある人
- 治療が必要な結核、B型肝炎のある人
- 生物学的製剤の成分に対して過去にアレルギー反応を起こしたことのある人 など