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いぼ(尋常性疣贅)

いぼ(尋常性疣贅)とは

**いぼ(尋常性疣贅)**は、**ヒトパピローマウイルス(HPV)**の感染によって生じる皮膚疾患です。
手足や指、足の裏などにできることが多く、表面がざらざらした硬い盛り上がりが特徴です。

HPVは小さな傷から皮膚に侵入し、症状が出ないまま長期間潜伏することがあります。その後ウイルスが増殖すると、皮膚表面にいぼとして現れます。
頻度が多い型はHPV2a・27・57型とされています。

感染経路にはひとから人への直接感染、器具などを介した間接的な感染、掻破行為に伴う自家接種があります。

通常1−6ヶ月の潜伏感染期間があります。


いぼの主な症状

  • 手や指にできる硬いいぼ
  • 足の裏の痛みを伴ういぼ(足底疣贅)
  • 表面がザラザラ・角質が厚い
  • 数が増える・広がることがある

早めの治療により、拡大や周囲への感染を防ぐことができます。


いぼの治療方法

症状や部位、年齢に合わせて下記の尋常性疣贅診療ガイドライン2019より複数の治療を組み合わせます。(下図は文献1より引用)


■ 液体窒素療法(保険適用)

マイナス196℃の液体窒素を綿棒に含ませ、凍結して壊死させる治療です。

治療間隔
1〜2週間に1回

特徴

  • 一般的な標準治療
  • 数回〜数か月の継続が必要
  • 凍結後に痛みや腫れが数日続くことがあります
  • 水ぶくれ・血豆・色素沈着が生じることがあります

■ モノクロロ酢酸療法(痛みが少ないいぼ治療)

強い酸性のモノクロロ酢酸をいぼに塗布し、組織を腐食・壊死させて除去します。

特徴

  • 液体窒素に比べ痛みが少ない
  • 赤み・ヒリヒリ感が出ることがある
  • 小児や痛みに弱い方にも選択される治療
  • 足にのみ使用可能

■ 外用治療(塗り薬)

自宅でのケアとして併用します。いぼ自体の根本治療ではなく足底いぼなどで盛り上がりが強く、歩行の妨げになる場合に使用します

保険適応

  • 10%または5%サリチル酸ワセリン 塗り薬
  • スピール膏(50%サリチル酸) 貼り薬

保険適応なし

  • 活性化ビタミンD3軟膏(オキサロール®軟膏)
    表皮細胞の分化誘導作用や過増殖抑制作用、炎症性細胞抑制作用、アポトーシス誘導作用や腫瘍細胞の増殖抑制作用がある。
    *文献1では、1日2回毎日ODT(外用したのちに絆創膏で覆う)を4日間行い、3ヶ月まで継続する。その後の3日間50%サリチル酸絆創膏(スピール膏®)を連続ではり、凍結療法を週1回で行うと記載あり。
  • ビダラビン軟膏
    ビダラビン(Ara-A)はアデニンの誘導体でウイルスのDNA依存DNAポリメラーゼを選択的に阻害し、DNAウイルスの増殖を抑制すると考えられている。1日2回連日ODT(外用したのちに絆創膏で覆う)を行うといぼが湿潤した感じになる。
  • イミキモド5%(ベセルナクリーム®)
    尖圭コンジローマと日光角化症の外用薬として保険適応がある。Toll-like receptorsファミリーメンバーの一つTLR-7に対するアゴニスト作用によるサイトカイン産生促進を介したウイルス増殖抑制作用とNK細胞活性の増強や細胞性免疫賦活化によるウイルス感染障害作用の両面から働くことがわかっている。1日2回連日ODT治療を行う。塗布部位にかゆみ、赤み、灼熱感が強い場合はスキップして改善後再開する。
  • 5ーFU軟膏
    フッ化ピリジン系代謝拮抗薬で、抗腫瘍薬効果は主にチミジル酸合成酵素抑制作用によるDNA合成阻害により、またこれにRNAへ取り込まれてRNA合成を阻害する作用やリボソームRNA形成阻害作用が相まって発揮されると考えられている。ODT治療では1日2回交換し、浸軟(白くなってふやけた)角質を除去しながら繰り返すと文献1に記載あり。

■ 内服治療(補助療法)

*文献1参照

ヨクイニン(漢方)
体内の免疫細胞を活性化させてイボのウイルスを撃退する効果があると言われています。複数のいぼや再発しやすい方に併用します。
成人18錠1日3回に分けて食前に飲みます、小児3-6g散剤 1日2−3回に分けて食前に飲みます

シメチジン(保険適応なし)
H2受容体拮抗薬としての胃酸分泌抑制作用以外に免疫活性化作用や抗腫瘍作用があります
成人4錠1日2回に分けて食後に飲みます、小児30-40mg/kg/日1日3回に分けて飲みます

エトレチナート(チガソン)(保険適応なし)
角化抑制や表皮増殖抑制作用があり、乾癬の治療薬として用いられています。催奇形性があるため内服中や、内服終了後も女性は2年、男性は6ヶ月の避妊が必要です。

その他

英国皮膚科学会のガイドライン(2014)では推奨度Cにブレオマイシン、接触免疫療法、5FU、パルス・ダイレーザーがある。(文献2)


治療のポイント

  • いぼは自然に治ることもありますが時間がかかります
  • 放置すると増える・広がることがあります
  • 継続治療が重要です
  • 痛み・生活への影響・年齢で治療法を選択します

受診の目安

  • いぼが増えてきた
  • 足の裏が痛い
  • 子どものいぼが広がっている
  • 長く治らないいぼがある

早期治療で改善しやすくなります。


文献1:尋常性疣贅診療ガイドライン 日皮会誌 136(3)235-241,2026
文献2:Sterling JC, Gibbs S, Haque Hussain SS, Mohd Mustapa MF, Handfield-Jones SE. British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of cutaneous warts 2014. Br J Dermatol. 2014 Oct;171(4):696-712. doi: 10.1111/bjd.13310. Epub 2014 Oct 1. PMID: 25273231.

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